試験概要・勉強法

司法書士試験の基礎1『試験科目』~主要4科目とマイナー科目~

司法書士試験基礎1試験科目

法律系の国家資格の試験では、司法試験や行政書士試験が人気がありますが、司法書士試験も人気の高い資格試験のうちの一つです。

その理由のひとつに、受験資格に制限がないことが挙げられます。年齢制限もありませんし、国籍も問われません。そのため、受験生の年齢は幅広く、若い方であれば10代の合格者もいらっしゃいます。

受験資格に制限がないので誰でも受験することはできますが、合格するには相当な努力をする必要があります。

管理人
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平成31年度(令和元年度)の出願者数に対する合格率は、3.57%です。

司法書士試験に合格するためには、司法書士試験の内容を知り、しっかりと対策することが必要です。

これから数回に渡って、司法書士試験について徹底解剖したいと思います。

管理人
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今回は、司法書士試験の試験科目と出題範囲についてご紹介します。

試験科目は全部で11科目

司法書士試験の試験科目は、全部で以下の11科目です。

  1. 憲法
  2. 民法
  3. 刑法
  4. 会社法/商法
  5. 民事訴訟法
  6. 民事保全法
  7. 民事執行法
  8. 司法書士法
  9. 供託法
  10. 不動産登記法
  11. 商業登記法

司法書士試験には、大きく①択一式試験、②記述式試験、③口述試験があります。

①の択一式試験の出題科目は、上記11科目全てです。②記述式試験では、不動産登記法と商業登記法の2科目が出題されます。③口述試験では、司法書士法・不動産登記法・商業登記法が試験科目になっています。

一般的には、出題数の多い「民法・商法/会社法・不動産登記法・商業登記法」を合わせて主要4科目、その他の科目をマイナー科目といいます。

司法書士試験の科目数は11科目と多く、出題範囲もとても広いので、丸暗記することはほぼ不可能です。試験勉強をする際には、本質的な理解に努めて学習する必要があります。

管理人
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試験科目になっているそれぞれの法が、どういったものであるかを見ていきたいと思います。

①憲法

憲法は、国民の権利や自由を守るために、国家に対しての決まり事を定めた法になります。民法や刑法が私たち国民に対しての決まり事を定めているのに対して、憲法は国に対して縛りをかけています。

憲法は、全部で11章103条あり、大きく「人権規定」「統治規定」「憲法保障」の3つに分けられます。

  1. 人権規定…国民の権利を守るために定められた規定
  2. 統治規定…国会/内閣/裁判所等、国家の統治組織について定めた規定
  3. 憲法保障…憲法そのものを守るための規定
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憲法は、平成15年から新たに試験科目になりました。103条すべてが出題範囲になります。

②民法

民法は、私たち(私人)の権利義務関係の基本的なルールを定めた法律になります。民法は、財産関係について定めた財産法(総則・物権法・債権法)と、家族関係について定めた家族法(親族法・相続法)によって成り立っています。

司法書士筆記試験の択一式試験では民法の出題数が最も多く、「民法を征する者は司法書士試験を征す」という格言があるくらい、司法書士試験において民法は重要な科目になります。司法書士試験で出題される民法の問題は、条文をただ暗記しているだけでは対応できない問題が多く出題されます。

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民法は2020年に「明治以来の大改正」と言われる改正法が施行され、2020年度からの司法書士試験では、改正民法が試験範囲になります。

③刑法

刑法は、犯罪や刑罰を定めた法律です。刑法は、全部で264条あり、第1編「総則(1〜72条)」と、第2編「罪(73〜264条)」の2編で成り立っています。

第1編「総則」では、どのような時に刑法が適用されるのか、又、犯罪はどのように成立するのか等、個別の犯罪に共通する一般原則を規定しています。第2編「罪」では、殺人罪や強盗罪等の個別の犯罪や、その犯罪の処罰規定について定めています。

管理人
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刑法は、学習範囲が広いですが、択一式70問中3問しか出題されません。費用対効果が悪そうな科目ですが、過去問から繰り返し出題される傾向があるので、過去問をしっかり学習することで得点できる可能性が高まります。

④会社法/商法

会社法/商法は、その名の通り、会社や商人の基本原則や取引について定めた法律です。会社法/商法は民法の特別法であり、会社法/商法が民法と異なる規定をしていた場合、会社法/商法が民法に優先します。

会社法では、会社の設立や株式の種類、合併等の組織再編等、会社の基本ルールを定めています。商法では、商人や商号・商行為といった商事に関する規定がされています。

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会社法/商法は、商業登記法とも密接する科目です。出題数も多いので、しっかりと対策する必要があります。

⑤民事訴訟法

民事訴訟法は、私人間で紛争が起こった場合に、裁判による公正円滑な解決が図れるように、訴訟の手続を定めた法律です。

司法書士試験における民事訴訟法の学習では、訴訟の手続き(流れ)そのものについて学ぶ他、訴訟手続の開始や審判の範囲、終了については当事者の意思によって判断されるべきという原則である「処分権主義」や、私的自治の原則を訴訟手続きにも用いた「弁論主義」などについても学びます。

管理人
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民事訴訟法は、実体法である民法と密接に関連する”手続法”です。民事訴訟法を理解するには、実体法である民法の理解が不可欠です。

⑥民事保全法

民事保全法は、現状の権利を維持/確保するために、強制執行がされる前の暫定的にする処分について定めた法律です。民事保全の内容には「仮差押え」「係争物に関する仮処分」「仮の地位を定める仮処分」があります。

民事保全法は全部で5章67条から成り立っています。

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民事保全法は条文数も多くなく、過去問から同じような内容が繰り返し出題されるので、学習すれば得点しやすい科目です。

⑦民事執行法

民事執行法は、裁判等で確定した相手方が為すべき義務を果たさない場合に、裁判所が義務を果たすように強制する手続(強制執行)について定めた法律です。民事執行法は、全部で5章207条から成り立っています。

裁判で権利が確定されても、それが実行されなければ意味を成しません。強制執行の方法には、競売や強制管理等があります。

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民事執行法は全5章207条ありますが、主に「第1章総則(1~21条)」「第2章強制執行(22~42条)」「第3章担保権の実行としての競売等(180~195条)」から出題されます。

⑧司法書士法

司法書士法は、司法書士の業務に関する規定を定めた法律になります。全部で11章83条あります。

司法書士法では、司法書士試験や司法書士の資格登録、司法書士の義務や司法書士法人、懲戒制度等について規定しています。

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司法書士法は、司法書士の業務をする上では大切な法律ですが、試験科目の中では内容が易しい科目です。難しい問題が出題されることは少ないです。

⑨供託法

供託法は、供託制度について定めた法律になります。供託とは、金銭や有価証券等を供託所に提出して、ある一定の法律上の目的を達成させることです。

例えば、ある物を友人から買った時に、売買代金を支払いたいのにその友人が受け取ってくれない場合には、ずっと代金支払債務が存続することになります。そういった場合に、代金を供託所に預けることで、代金を支払ったことにすることができます。これが供託のざっくりとした概念です。

供託法では、供託の申請手続/払渡手続、供託要件等について学びます。

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供託は普段の生活に馴染みがないため、始めは供託制度を理解するのに時間がかかるかもしれません。しかしマイナー科目の中では学習範囲に比べて出題数が3問と多く、難問が出題される可能性も低いので、費用対効果の高い科目です。

⑩不動産登記法

不動産登記法は、不動産の登記制度・登記手続について定めた法律になります。

不動産登記簿には、土地や建物の現況を公示する「表題部」と、権利関係を公示する「権利部」があります。「権利部」には、所有者に関する事項が記載された”甲区”と、所有権以外の権利(抵当権等)に関する事項が記載された”乙区”があります。

司法書士試験で問われるのは「権利部」に関する内容になります。

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不動産登記法は、①択一式試験、②記述式試験、③口述試験の全てにおいて出題されるので、不動産登記法の学習範囲は必ずマスターする必要があります。

⑪商業登記法

商業登記法は、会社法や商法によって定められた登記事項・登記手続について定めた法律になります。

商業登記簿には、会社の商号や本店所在場所、資本金や役員など、会社の基本的事項が記載されます。商業登記簿の記載事項に変更があった場合には、登記申請をして登記事項を更新する必要があります。

司法書士試験における商業登記法では、商業登記簿の記載事項やこれらの申請手続について学びます。

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商業登記法は会社法/商法と密接に関連しています。また、不動産登記法と同じく、①択一式試験、②記述式試験、③口述試験の全てにおいて出題されるので、司法書士試験においてはとても重要な科目になります。
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今回は、司法書士試験の出題科目になっている法律についてご紹介しました。

それぞれの科目の勉強法については、以下の記事に書きました。良かったら合わせてご参考ください。