試験概要・勉強法

【民法】司法書士試験 科目別勉強法【択一式】

司法書士試験は、択一式11科目、記述式2科目が出題範囲になっています。

択一式の試験科目は、午前の部が①民法、②商法/会社法、③憲法、④刑法午後の部が⑤不動産登記法、⑥商業登記法、⑦民事訴訟法、⑧民事執行法、⑨民事保全法、⑩供託法、⑪司法書士法です。

記述式の試験科目は、①不動産登記法、②商業登記法です。出題数の多い民法・商法/会社法・不動産登記法・商業登記法を合わせて主要4科目と言ったり、これに民事系科目(民訴・民執・民保)を加えて主要5科目と言ったりします。

管理人
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これから数回に渡って、科目別の勉強法を紹介したいと思います。今回は、民法についてです。

民法の出題数と得点目安

民法は、午前の部の択一式試験で、合計20問出題されます。

管理人
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午前の部の択一式試験は、合計35問出題されます。そのうち民法は20問を占めるので、民法が重要科目であることに間違いはなさそうですね。

ここで改めて民法の全体像の確認ですが、民法は①総則編、②物権編、③債権編、④親族編、⑤相続編の5編から構成されています。このうち、財産の支配及び取引に関する法規について定めた①②③を”財産法”、親族・相続といった家族関係に関する法規を定めた④⑤を”身分法/家族法”と呼びます。

今年度の司法書士試験では、①総則編から3問、②物権編から9問(うち、担保物権5問)、③債権編から4問、④親族編及び⑤相続編から4問出題されました。

管理人
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おそらく今後暫くの出題範囲の内訳も変わらないと思います。

年度によって難易度が異なるため一概には言えませんが、民法では、全体の8.5割17問~9割18問以上の得点を目指したいところです。もちろん20問全てを得点出来るにこしたことはないのですが、どうしても解けない問題があると思うので、満点を取る必要はありません。民法で満点を取らなくても合格できます。

管理人
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意気込みとしては満点を目指すのが良いと思いますが、完璧主義になりすぎるとしんどくなってしまいます。17問取れたらOK!18問取れたらヤッター!くらいの気持ちでいる方が良いのではないかと個人的には思います。

民法の出題範囲と出題傾向

民法は、基本的には条文と通説・判例から出題されます。

全ての民法条文が出題範囲ではありますが、中には(司法書士試験においては)マイナー条文と呼ばれるものもあり、全ての条文を頭に入れておく必要はありません。お手持ちのテキストに記載されている条文を理解して覚えておけば十分です。

近年の司法書士試験では、条文そのものの知識をダイレクトに問われる問題は少なく、事例を通して条文知識を問う問題が多くなっています。

判例の出題は、基本的には最高裁判例のうち、司法書士試験において重要な判例とされているものから出題されます。判例も膨大な数があり、全てを覚えるのは不可能なので、テキスト記載の判例を中心に覚えていくことになります。

管理人
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過去には条文と判例以外に”学説”からも出題されていましたが、近年の司法書士試験では出題されていません。

民法を勉強する際の心がけ

本質的な理解を心がける

民法の総則/物権/債権編の問題では、条文知識をそのまま問うものが少なく、事例問題が多く出題されます。そのため、ただ条文を暗記しているだけでは問題を解くことが出来ません。

事例問題は、事例を読んで自分の持っている知識を当てはめ、自分で考えて結論を導き解答していくことになります。条文を丸暗記しているだけでは太刀打ちできず、本質的な理解をしていないと解答することができません。

親族/相続編の問題では、条文を知っているか否かで解ける問題もありますが、問題を解くためには、本質的な理解が必要であることに違いはありません。

管理人
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民法は、不動産登記法等の手続法に比べて、より“理解して覚える”ことが必要な科目になります。丸暗記ではなく”理解”することが一番大事になってきます。というか、民法は覚えることが多いため、丸暗記するのはそもそも難しいと思います^^;

苦手分野を作らない

民法に限らず司法書士試験全般にいえることですが、苦手科目や苦手分野を残したまま本試験に臨むのは得策ではありません。司法書士試験には基準点(=足切り点)が設定されており、全体的にバランスよく得点することが求められるからです。

一般的に司法書士受験生は、物権に強く債権に弱いと言われています。確かに債権は初めはとっつきにくい分野だと思いますが、一度理解してしまえば、難しい問題でも基本的な知識を応用して解答することができます。

民法については、全範囲が得意分野と言える程に勉強しても、勉強のし過ぎということはありません。苦手分野がある場合は、早いうちに得点源に出来るようにしておくことが必要です。

管理人
管理人
“民法を制する者は、司法書士試験を制す”という言葉があるくらい、民法は司法書士試験において大事な科目です。民法の理解がないと、不動産登記法や民事訴訟法を学ぶ際にも苦労することになります。まずは民法を徹底して理解するようにしましょう。

まずは基本を徹底して理解し覚える

民法の勉強は、丸暗記ではなく、本質的な理解が必要であることは先に述べました。単に過去問を漫然と解くだけでは本質的な理解をすることは出来ません。

テキストで学ぶ際にも過去問を解く際にも「なぜそうなるのか」を意識しながら読み進めたり問題を解く必要があります。

ただし、民法の出題範囲は膨大なため、初めからあまりに細かいところまでを完璧に覚えようとすると、破綻します。全ての科目に共通して言えることですが、まずは基本をしっかりと理解することが大切です。

予備校でいう”Aランクの内容”をバッチリ理解し、そこから派生論点を押さえていく勉強をしていくのが良いと思います。細かい知識や難しい論点が分からなくても気にせず、まずは基本を徹底して覚えることに注力しましょう。

試験までの民法の勉強方法

テキストで理解した上で、過去問を解く

試験勉強の方法は、人それぞれです。テキストを読み込んで理解してから過去問を解く人もいますし、テキストの読み込みは程々にして過去問を何度も繰り返し解いて理解していく人もいます。

ただ民法に関しては、ある程度まとまった内容を体系的に理解していく必要があり、断片的な知識を持っているだけでは得点しにくい科目だと思います。

不動産登記法等の手続法であれば、いきなり過去問を解くのも良いと思いますが、民法に関しては、テキストの内容を理解した上で、過去問を解いていくのが良いと思います。

例えば、予備校に通っている方であれば予備校の講義を受けてテキストで復習をし終えた後、また独学の方であればお手持ちのテキストで、あるテーマ(総則編の意思表示であれば意思表示を、代理であれば代理、etc.)の内容をインプットした後に、その範囲の内容の過去問を解くといった形です。

「講義を受ける/テキストを読んで理解する⇔過去問を解く」の繰り返しで、知識をスパイラルアップしていくイメージです。

私が初めて民法を勉強した時のこと

私は予備校に通っていたので、①予備校の講義を受ける→②講義を受けた範囲のテキストを読み返す→③過去問を解く→④ ②と③の繰り返し、といった形で勉強をしていました。

過去問は初めは全然解けなかったのですが、「初めは解けないものだ」と思っていたので、あまり気にはしませんでした。ただ、過去問で出題されている内容が、テキストのどこに記載されているのかを逐一確認するようにしていました。

テキストと過去問の内容を繋げることで、より理解を深めることができました。

インプットのメイン教材はテキスト、六法はサブ

インプットする教材はテキストがメインになります。

六法で条文を引くことが必要か否かは度々議論になるところですが、私は受験生時代に六法で条文を引くことはほぼなかったです。

六法の条文のうち、司法書士試験に必要な条文の内容がテキストにまとまっていると思っていたので、テキストの内容を理解しておけば、六法で条文を引くことは必要ないと思っていたからです。

ただ、六法で条文を素読したり、逐次条文を引いて合格された方も私の周りには沢山います。

こう言ってしまえば元も子も無いのですが、六法での勉強が必要が否かは、自分が必要だと思えば必要だし、不要だと思えば不要です。勉強を進めていく上で、六法での勉強が必要か否かを判断したら良いと思います。

管理人
管理人
「六法を引かないなんて法律家としてどうなんだ」と言う人もいましたが、試験に受かることが一番の優先事項なので、法律家云々は合格してから考えたら良いと思っていました。合格して実務についている今は、六法で条文を沢山引いています^^;

ただ、紙の六法で条文を素読することはなかったのですが、車の運転中などテキストが見れない時は、読み上げ条文を聞き流すことはありました。

民法の勉強法を紹介している予備校の参考ページ

ここまで、私の考える司法書士試験における民法の勉強法をご紹介しました。

司法書士試験のプロである各資格試験予備校のサイトでも、民法に関する勉強法を紹介しているページがありましたので、いくつかご紹介します。参考にしてみてくださいね。

 

資格の学校TAC/Wセミナー:「【司法書士】試験科目の内容を知ろう!【民法編】

アガルートアカデミー:「【司法書士試験】民法の勉強法

スタディング:「司法書士試験「民法」の攻略法

資格スクエア:「最初の一年間のうち、半年は民法に費やすべき。

 

改正民法を踏まえた民法の勉強法については、クレアールさんの「「民法債権法の改正について」(動画および書き起こし)」の記事が参考になると思います。

 

管理人
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今回は、民法の勉強法についてご紹介しました。司法書士試験勉強の参考になりましたら幸いです。