試験概要・勉強法

【民訴/民執/民保法】司法書士試験 科目別勉強法【択一式】

今回の科目別勉強法は、民事訴訟法/民事執行法/民事保全法についてです。

一般的に出題数の多さや出題範囲の広さから、民法・不動産登記法・会社法/商法・商業登記法を司法書士試験における主要4科目、その他の科目をまとめてマイナー科目と呼びます。

管理人
管理人
民訴法以下はマイナー科目と呼ばれてはいますが、司法書士試験では捨て科目を作れないため、マイナーと呼ばれていても確実に得点するための勉強が必要です。

民事訴訟法について

民事訴訟法の出題数と得点目安

民事訴訟法は、午後の部の択一式試験で、合計5問出題されます。午後の部の択一式試験の科目は、出題順に民事訴訟法5問、民事保全法1問、民事執行法1問、供託法3問、司法書士法1問、不動産登記法16問、商業登記法8問という出題構成になっています。例年、民事訴訟法は午後の部の択一式試験の第1問から第5問で出題されます。

管理人
管理人
司法書士試験の午後の部の択一式試験で、順番的に一番始めに出題されるのが民事訴訟法です。

年度によって難易度が異なるため一概には言えませんが、合格するためには、民事訴訟法では全5問中4問以上の得点を目指したいところです。

管理人
管理人
民事訴訟法/民事執行法/民事保全法の3科目計7問中5問以上正解できれば良いと思います。

民事訴訟法の出題範囲と出題傾向

民事訴訟法は、大きく「①訴訟の開始」「②訴訟の審理」「③訴訟の終了」「④複数請求訴訟/多数関与者訴訟」「⑤上訴/再審」「⑥略式訴訟手続」に分かれます。

それぞれの学習範囲は、以下のようになっています。

  1. 訴訟の開始 管轄、訴えの種類、訴訟提起の方法、処分権主義、訴訟要件、等
  2. 訴訟の審理 口頭弁論、裁判所と当事者の役割、期日や期間、証明責任、等
  3. 訴訟の終了 当事者/終局判決による訴訟の終了、判決の効力、等
  4. 複数請求訴訟/多数関与者訴訟 訴訟の併合、訴えの変更/反訴/中間確認の訴え、共同訴訟、補助参加/訴訟告知、等
  5. 上訴/再審 上訴の制度(控訴/上告/抗告)、再審、等
  6. 略式訴訟手続 簡易裁判所の訴訟手続、少額訴訟手続、督促手続、手形・小切手訴訟手続、等
管理人
管理人
民事訴訟法の中で重点的に学習すべきは、「①訴訟の開始」「②訴訟の審理」「③訴訟の終了」です。民事訴訟法の基礎となる分野なので、しっかりとした対策が必要です。

直近の司法書士試験では、以下の内容が出題されました。( )内は出題形式です。

令和3年度

  • 第1問 訴訟能力又は法定代理(組み合せ問題)
  • 第2問 期日又は期間(組み合わせ問題)
  • 第3問 訴訟行為の方式(組み合わせ問題)
  • 第4問 書証(組み合わせ問題)
  • 第5問 判決又は決定(組み合わせ問題)
管理人
管理人
全てに言えることかもしれませんが、特に第2問・第3問は、正確に記憶していないと得点しづらい内容だったように思います。

令和2年度

  • 第1問 送達(組み合せ問題)
  • 第2問 弁論主義(組み合わせ問題)
  • 第3問 争点及び証拠の整理手続(組み合わせ問題)
  • 第4問 証拠保全(組み合わせ問題)
  • 第5問 既判力(組み合わせ問題)
管理人
管理人
令和2年度も全て組み合わせ問題の出題でした。

平成31年度(令和元年度)

  • 第1問 管轄(組み合せ問題)
  • 第2問 処分権主義(組み合わせ問題)
  • 第3問 口頭弁論(組み合わせ問題)
  • 第4問 証人尋問・当事者尋問(組み合わせ問題)
  • 第5問 裁判によらない訴訟の完結(組み合わせ問題)
管理人
管理人
平成31年度は、管轄や処分権主義等の頻出論点が出題されました。

平成30年度

  • 第1問 訴訟の承継(組み合せ問題)
  • 第2問 確認の訴え(組み合わせ問題)
  • 第3問 文書の証拠調べ(組み合わせ問題)
  • 第4問 簡易裁判所の訴訟手続(組み合わせ問題)
  • 第5問 再審(組み合わせ問題)
管理人
管理人
平成30年度は、近年出題実績のなかった再審の問題が出題されました。

平成29年度

  • 第1問 訴訟能力(組み合せ問題)
  • 第2問 訴訟費用(組み合わせ問題)
  • 第3問 当事者の出頭(組み合わせ問題)
  • 第4問 確定判決の効力(組み合わせ問題)
  • 第5問 支払督促(組み合わせ問題)
管理人
管理人
平成29年度は、訴訟能力や訴訟費用、当事者の出頭といった、民事訴訟全般に共通するルールについて多く出題されました。

平成28年度

  • 第1問 送達(組み合せ問題)
  • 第2問 当事者適格(組み合わせ問題)
  • 第3問 弁論主義(組み合わせ問題)
  • 第4問 弁論準備手続(組み合わせ問題)
  • 第5問 控訴(組み合わせ問題)
管理人
管理人
平成28年度は、送達や当事者適格、弁論主義といった、民事訴訟法の頻出テーマについて出題されました。

平成27年度

  • 第1問 管轄(組み合せ問題)
  • 第2問 補助参加(組み合わせ問題)
  • 第3問 訴えの提起(組み合わせ問題)
  • 第4問 証拠調べ(組み合わせ問題)
  • 第5問 裁判によらない訴訟の完結(組み合わせ問題)
管理人
管理人
平成27年も過去に出題実績が多数ある頻出テーマからの出題が多かったです。「裁判によらない訴訟の完結」では、取下げや和解、請求の放棄/認諾について問われています。

平成26年度

  • 第1問 送達(組み合せ問題)
  • 第2問 当事者の期日の欠席(組み合わせ問題)
  • 第3問 証拠調べ(組み合わせ問題)
  • 第4問 確定判決の効力(組み合わせ問題)
  • 第5問 訴えの取下げ(組み合わせ問題)
管理人
管理人
平成26年度も頻出テーマからの出題でした。

民事訴訟法の出題形式は、基本的には組み合わせ問題です。(不動産登記法の登記記録問題や憲法の文章題のように、変わった形式は基本的には出題されません。)

管理人
管理人
近年では、「①訴訟の開始」「②訴訟の審理」「③訴訟の終了」の分野から3~4問、それ以外の分野から1~2問出題されていることが多いですね。

民事訴訟法の試験までの勉強法

条文と過去問を重視した学習

民事訴訟法は、過去に出題された内容が繰り返し出題される傾向にあります。また、問われる内容は複雑なものは少なく、条文知識をストレートに問う問題が多いです。

問題肢の文章も短く、知っているか否かで瞬時に判断できる問題が多いので、条文を覚え、過去問を繰り返し解いてマスターしておくことで対応できます。

管理人
管理人
午後の部の試験は時間がタイトなので、問題を解くスピードが大事になってきます。民事訴訟法は知らなければ考えても解けない問題が多いので、とにかく条文や過去問の内容を記憶しておくことが大切です。

理解せずとも暗記する

勉強する際には理解して覚えていくことが大前提ですが、司法書士試験における民事訴訟法については、理解はそこそこでも「そういうものなんだ」と思って、条文や過去問を暗記していく方法もアリだと思います。

司法書士試験で学習すべき内容は膨大にあります。主要4科目や記述式試験対策等で、マイナー科目に十分に時間をとれない方もいると思います。

民事訴訟法は条文や過去問の内容を覚えておけば解ける問題が多いので、ただひたすら暗記していくのも一つの手だと思います。(暗記で対応するのは賛否両論あると思いますが、あくまで個人的な見解です)

管理人
管理人
法律の本質的な勉強は、ただ暗記していくような勉強ではありません。司法書士試験に合格するための勉強として、民事訴訟法は暗記対応もアリだということです^^;

早めの学習を心掛ける

民事訴訟法はマイナー科目と呼ばれているため、学習が後回しになりがちです。学習順序的にも主要4科目が終わった後に学習するため、主要4科目の復習に時間を取られて、なかなか民事訴訟法の学習時間が確保できない場合もあると思います。

民事訴訟法は、民法と対になる手続法なので、民法の学習が終わった時点で学習を開始できます。民法の次に学ぶ不動産登記法と並行して学習することも可能です。

予備校のカリキュラム的に民法の次に学習することが難しければ、民事訴訟法の講義に合わせて過去問を解いていくなど、後回しにしないように学習計画を立てると良いと思います。

管理人
管理人
民事訴訟法は5問も出題されるので、マイナー科目の中でも重要な科目です。午後の部の試験では民事訴訟法の問題から始まるので、民事訴訟法をリズムよく解答できれば、午後の部の試験の調子作りに役立つと思います。

民事保全法について

民事保全法の出題数と得点目安

民事保全法は、午後の部の択一式試験で、合計1出題されます。民事保全法を得点し、民事訴訟法/民事執行法/民事保全法の3科目計7問中で5問以上正解できれば良いと思います。

民事保全法の出題範囲と出題傾向

民事保全法では、判決が得られるまでの裁判所による暫定的な権利者の保護手続きについて学びます。具体的には、保全命令や不服申立て、保全執行等があります。

直近の司法書士試験では、以下の内容が出題されました。( )内は出題形式です。

  • 令和3年度 第6問 仮処分命令等(組み合せ問題)
  • 令和2年度 第6問 保全命令等(組み合せ問題)
  • 平成31年度 第6問 仮の地位を定める仮処分命令(組み合せ問題)
  • 平成30年度 第6問 民事保全手続全般(組み合せ問題)
  • 平成29年度 第6問 保全命令(組み合せ問題)
  • 平成28年度 第6問 係争物に関する仮処分(組み合せ問題)
  • 平成27年度 第6問 保全異議・保全取消し(組み合わせ問題)
  • 平成26年度 第6問 仮の地位を定める仮処分命令(組み合せ問題)

民事保全法は、直近年は全て組み合わせ問題で出題されています。

管理人
管理人
民事保全法は、学習範囲全般から出題されています。民事保全法は学習範囲が狭い科目なので、始めから終わりまで通して勉強しやすく、勉強しておけば得点可能な科目です。

民事保全法の試験までの勉強法

テキストで全体像や構造を掴む

民事保全法は学習範囲の狭い科目であり、他の科目に比べて学習時間をそこまで多くとらなくてもマスターできる科目です。

ただし、学習の初めは、何を言っているのかイメージしにくい科目でもあるので、テキストで内容を理解し、民事保全法の全体像や構造を理解した上で過去問を解くのが良いと思います。

管理人
管理人
民事保全法は半日~1日程度でテキストを読み終えることも可能な科目だと思います。狭い学習範囲で1問得点できる効率の良い科目なので、捨て科目にすることなく学習しましょう。

過去問を繰り返し解く

民事保全法は出題範囲が狭いので、過去問では繰り返し同じ内容が出題されています。試験対策としては、テキストで民事保全法の全体像や構造を把握し、あとは過去問を解いて内容を押さえておくことで対応できます。

管理人
管理人
平成の30年分(計30問)+令和に入ってからの問題を解くことで十分に対応可能ですが、余裕があれば昭和の過去問を解くのも良いと思います。

民事執行法について

民事執行法の出題数と得点目安

民事執行法は、午後の部の択一式試験で、合計1出題されます。民事保全法を得点し、民事訴訟法/民事執行法/民事保全法の3科目計7問中で5問以上正解できれば良いと思います。

管理人
管理人
民事保全法と同じです。

民事執行法の出題範囲と出題傾向

民事執行法では、国家権力による民事上の強制手続について学びます。具体的には、強制執行(不動産執行、動産執行、債権執行、等)や、担保権の実行としての競売手続等についてです。

直近の司法書士試験では、以下の内容が出題されました。( )内は出題形式です。

  • 令和3年度 第7問 強制執行等(組み合せ問題)
  • 令和2年度 第7問 債務名義,財産開示手続(組み合せ問題)
  • 平成31年度 第7問 強制執行全般(組み合せ問題)
  • 平成30年度 第7問 執行文(組み合せ問題)
  • 平成29年度 第7問 間接強制(組み合せ問題)
  • 平成28年度 第7問 金銭債権に対する強制執行(組み合せ問題)
  • 平成27年度 第7問 債務名義(単純正誤問題)
  • 平成26年度 第7問 各種異議の訴え(個数問題)

直近の民事執行法の問題は、組み合わせ問題や単純正誤問題、個数問題等、様々な出題形式で出題されています。

民事執行法の試験までの勉強法

テキストで学習した後に、過去問を繰り返し解く

民事執行法は民事保全法と同じく、テキストで内容を理解し、民事執行法の全体像や構造を理解した上で過去問を解くのが良いと思います。

ただし、民事保全法に比べて学習範囲が広く、難しい内容を含むので、民事執行法をマスターするには、それなりの学習時間の確保が必要です。

管理人
管理人
民事執行法も繰り返し何度も同じ内容が出題されています。過去問をマスターしておくことで、試験対策としては十分です。

唯一、捨て科目にするのもアリ…(超 個人的見解)

司法書士試験の試験科目は11科目と多いですが、合格するためにはバランスよく得点をしないといけないので、捨て科目を作ることは出来ません。

しかし、学習範囲が膨大なので、(初学者の方は特に)全ての科目に手が回らないこともあると思います。

「もし、何か一つ捨て科目にするなら・・・?」という禁断の質問をされたら、私は「民事執行法」と答えます。

理由は大きく、以下の3つです。

  1. 学習範囲の広さに比べて1問しか出題されないので費用対効果が悪い
  2. 内容が難しい(単純暗記では対応できない)。
  3. 個数問題や単純正誤問題といった形式で出題されることもあり、問題形式の難易度が上がることもある。
管理人
管理人
こういった不特定多数の方の目に触れる場で民事執行法を捨て科目にすることを書くことに躊躇いもありましたが…、合格するための戦略としてはアリだと思うので書くことにしました。逆に言えば、これ以外は捨て科目には出来ないということでもあります。

民訴系他のマイナー科目の勉強法を紹介している予備校の参考ページ

ここまで、私の考える司法書士試験における民事訴訟法/民事執行法/民事保全法の勉強法をご紹介しました。

各司法書士試験予備校のサイトでも、民事訴訟法/民事執行法/民事保全法に関する勉強法を紹介しているページがありましたので、いくつかご紹介します。参考にしてみてくださいね。

 

資格の学校TAC/Wセミナー:【司法書士】試験科目の内容を知ろう!【民事訴訟法・民事執行法・民事保全法編】

・東京法経学院:「司法書士試験の主要科目とマイナー科目とは

アガルートアカデミー:「【司法書士試験】民事訴訟法の勉強法 」「【司法書士試験】民事執行法の勉強法

スタディング:「司法書士試験「マイナー科目」の攻略法

 

管理人
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今回は、民事訴訟法/民事執行法/民事保全法の勉強法についてご紹介しました。司法書士試験勉強の参考になりましたら幸いです。