今回は、司法書士のお仕事についてご紹介致します。
「司法書士」という言葉を聞いたことがある方は多くいると思いますが、司法書士がどのような仕事をしているのか知っている方は意外に少ないです。
弁護士をモチーフにした映画やドラマは沢山あります。ドラマでは、嵐の松本潤が主演し、高視聴率を獲得した『99.9-刑事専門弁護士』や、米倉涼子主演の『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子』等が有名ですね。
行政書士は『カバチタレ!』という漫画やドラマによって、一般的な知名度は高くなりました。
司法書士をモチーフにしたマンガでは、『びったれ!!!』や『セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿-』などがあります。ドラマでは、2019年1月期に関西テレビ・フジテレビ系列で放送された『後妻業』というドラマの中で、お笑いコンビ次長課長の河本準一が司法書士を演じました。また、2020年10月期にテレビ朝日系列で放送された『七人の秘書』というドラマの中で江口洋介が司法書士を演じています。
しかし、司法書士の映画やドラマ・漫画は数えるほどしかありません。司法書士の今の主力業務は「登記手続の申請代理」です。登記のお仕事は、弁護士の裁判業務のようなドラマチックな展開はあまりおこりません。淡々としたお仕事なので、ドラマやマンガにするには難しいのかもしれません。
しかし、登記業務は人生の重要な場面に携わるとても重要なお仕事です。司法書士の仕事は世間一般に詳しくは知られていないかもしれませんが、私は司法書士の仕事にとても魅力を感じています。
そんな思いをもって、今回の記事を書きます^^。
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不動産登記・商業登記申請の手続代理
司法書士は、報酬を得て登記業務が出来る唯一の国家資格です。
登記とは、一定の権利関係を社会に公示する制度のことを言います。例えば、不動産を購入したら、所有権を得たことを登記します。会社を設立したら、その旨を登記します。
司法書士は、不動産登記手続きのプロである
不動産の状況を公示する制度として、不動産登記制度があります。不動産は、不動産登記制度により、不動産登記簿(登記記録)によって管理されています。
不動産登記簿には、不動産の物理的状況を示す「表題部」と、権利関係を示す「権利部」があります。権利関係とは、ざっくり言うと「土地の所有者」や「担保権者」は誰か?ということです。
「表題部」を登記することは義務ですが、「権利部」の登記は義務ではありません。従って、土地を購入して所有者になたからといって、そのことを登記する必要は厳密にはありません。
しかし、登記をすることによって「対抗力」を得ることができますので、一般的には権利を得たら、その旨を登記します。「対抗力」とは、自分が権利を持っていることを、第三者に主張できる法的効力のことをいいます。
例えば、Aさん所有の甲土地をBさんとCさん(BさんとCさんは全くの赤の他人)の2人に売ったとします。これを二重売買といいます。二重売買は民法上は有効な取引です。では、BさんとCさんのどちらが所有者として主張できるかというと、先に所有権の登記を備えた方が正当に所有権を主張することができます。
このように、先に権利部の登記を備えた方が対抗力を備え、正当な権利を主張することができます。
報酬を得てする権利部の登記手続の申請代理は、司法書士の独占業務です。それ故、司法書士は滞りなく完璧に登記手続をするプロでもあります。
※ちなみに表題部の登記手続は、土地家屋調査士がします。
司法書士は、商業登記手続のプロでもある
司法書士は、商業登記手続のプロでもあります。
会社は、商業登記制度によって、その会社の状態が公示されています。商業登記簿には、会社の商号や本店所在地は勿論のこと、役員の氏名や資本金等が記録されています。
商業登記手続きには、会社を作った時の「会社設立の登記」手続きや、会社が役員を変更した時の「役員変更の登記」手続きがあります。
会社は、会社の設立登記をすることによって誕生します。そして、役員の変更等、誕生した会社の状態の変化を継続的に登記することで「生きた会社」になります。
また、会社関係の登記は、株式会社であれば増資をする際の手続きや、合併等の組織再編の登記など、とても複雑で難解なものが沢山あります。司法書士は会社法/商法に詳しく、商業登記手続きの専門家です。司法書士に任せることによって、実体的にも登記的にも安心して手続きを進めることができます。
裁判業務
司法書士は、簡易裁判所において訴訟代理人になることができます(※)。訴額140万円以下の訴訟に限られますが、弁護士のような活動ができます。
※裁判業務が出来るのは、司法書士の中でも「認定司法書士」と呼ばれる訴訟代理人となる資格を得た司法書士に限られます。
一時は、過払い金の返還請求において司法書士が活躍していました。現在は過払い金返還ブームが落ち着いた感がありますが、司法書士がする裁判業務は、過払い金返還請求に限られません。
例えば、家賃を未払いしている賃借人に家賃支払いの請求をしたり、正当な権利なく建物を占有している不法占有者に建物明渡請求をしたり、残業代の未払い金の支払い請求をしたりと、活躍の場は広がっています。
司法書士がする裁判業務には制限がありますが、制限があるがために、特定の分野において経験豊富で専門的な知識を持ち合わせる司法書士が多数います。弁護士にも専門分野があるように、司法書士にも専門分野があります。
成年後見業務
高齢化社会が進み、日本人の平均寿命は伸びる一方です。高齢者の中には、自身で正常な判断ができなくなる、所謂”認知症”になる方も増えています。
認知症やある障害によって、自分で財産管理ができなくなった場合に、本人に代わって財産管理を行うことも、司法書士の業務のひとつです。(=後見制度)
本人に代わって財産管理をすることは、一定の要件を満たせば、司法書士でなくても出来ます。しかし、司法書士は不動産や会社といった重要な財産を扱う仕事に日常的に従事しており、人の財産を扱う専門家です。そのため、財産管理をおこなうのに最適な人材であるといえます。
また、”リーガルサポート”という司法書士の成年後見制度を支援する団体があります。司法書士業界全体で後見業務をバックアップする体制が整っているので、安心して司法書士に財産管理を委ねることができます。
家族信託
家族信託は、最近ちょっと話題になっている新たな財産管理の手法です。家族信託は、配偶者や子など信頼できる第三者に、不動産や預貯金等の財産を預けて管理・運用してもらう制度です。家族信託をすることによって、柔軟な財産管理が可能になります。
本人名義の自宅に親Aが住んでいたとします。親Aは認知症となり、施設に入りました。親Aは認知症が進み、自宅に帰る見込みはありません。また、施設代がかかって預貯金は目減りしていっています。
子Bは、親Aが帰る見込みのない親A名義の自宅を売却して、その売却代金を施設代に当てたいと思っています。しかし子Bには、親A名義の自宅の売却権限がないので、自宅を売却することが出来ません。
もし、親Aが元気なうちに、親Aと子Bが家族信託契約を締結して、子Bに自宅の売却権限を与えておけば、子Bは自身の判断で親の自宅を売却し、その売却代金を施設代にあてることが出来るようになります。
このように、家族信託の制度を活用することによって、柔軟な財産管理をすることが可能になります。
しかし家族信託を設計する際には、様々な法的な権利関係を考慮する必要があります。専門的な知識が必要な制度なので、家族信託を行う場面での司法書士の活躍には、近年目覚ましいものがあります。
司法書士のお仕事まとめ
司法書士のお仕事として、①登記、②裁判、③後見、④家族信託に関する業務をご紹介しました。
どれも普段の生活にはなじみのないものなので、司法書士の仕事が一般の方に認知されないのも、納得できるような気がします^^;。
しかし、どの業務も人の重要な財産を扱ったり、重要な局面に携わる仕事であり、重責のある仕事です。”地味”と言われがちな司法書士の仕事ですが、私は司法書士の仕事がとても好きです。
事実として、司法書士の主力業務であった登記案件の数は。年々減ってきています。しかし、成年後見業務での活躍の場が広がったり、裁判業務が新たに出来たり、家族信託といったこれまでになかった財産管理業務に携わることが出来たりと、司法書士が活躍する場は多様的に発展しています。
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