『ケータイ司法書士』の択一式科目のテキスト(計4冊)を実際に使ってみた感想を書きます。
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『ケータイ司法書士』ってどんなテキスト?
『ケータイ司法書士』は、「LEC東京リーガルマインドの司法書士講座」のカリスマ講師”森山和正”先生の著書です。多くの司法書士受験生が使用している六法『模範小六法』を発売している三省堂から出版されています。
『ケータイ司法書士』は択一式科目が4分冊、記述式科目が2分冊、計6分冊で構成されています。
『ケータイ司法書士』の特徴
膨大な論点をコンパクトに無駄なく収録
『ケータイ司法書士』は、司法書士試験の合格に本当に必要な論点だけが抽出され、コンパクトに収録されています。
予備校が使用している司法書士試験のテキストの中には、全科目合わせると数千ページにも及ぶものがあります。また、市販のテキストでも数百ページのテキストが何冊にも渡るものが多いです。
基本的に、テキストを読めば全て理解できるようになっているため、覚えるべきことが膨大な司法書士試験のテキストは、ページ数が長大になってしまうのは仕方のないことです。
しかし、本当に必要で、理解して必ず覚えておかなければならない論点(以下、Aランクの知識)は、その長大なテキストの中でも限られています。
『ケータイ司法書士』は、Aランクの知識のみをコンパクトにまとめたテキストになっています。
見開き1ページで1テーマ完結のテキスト&問題集
『ケータイ司法書士』は、基本的に1テーマが見開き1ページで完結します。
左ページがテキスト、右ページが〇×の過去問/予想問になっています。テキスト部分で内容を理解してから、問題を解く流れになります。
左ページのテキスト部分で学んだ内容がちゃんと頭に入っているかを、右ページの問題演習をすることで確認することができます。
また、右ページの問題は、テーマに合ったAランクの過去問がある時はその過去問が出題されていますが、場合によってオリジナル問題が予想問として出題されています。
重要部分が一目瞭然&暗記シートつき
テキストページは、必要な知識が2~3行の箇条書きで書かれているので、スイスイと読み進めることができます。
『ケータイ司法書士』は、テキストページの重要な箇所が赤字になっています。テキストを初めて読む際でも、どこが重要な部分なのかが一目瞭然です。
また、赤字のところは暗記シートで隠せるようになっています。暗記シートを使用することで、テキストページでもアウトプットの勉強をすることができます。
問題ページでは、問題文の後すぐに、〇×の答えが掲載されています。答えが赤字になっていて、暗記シートで隠せるようになっています。
1ページにかける時間の目安を表示
『ケータイ司法書士』のテキストページの上部には「目標〇分で覚えよう」、問題ページの上部には「目標〇分で答えよう」といったように、そのページにかける時間の目安が表示されています。
1テーマの学習時間は、テキストページと問題ページを合わせて10分に統一されています。
学習した日付と正当数を記録できる
『ケータイ司法書士』の問題ページの上部に、学習した日付と正当数が記録できる欄があります。
学習した日付を記録することで、いつ解いたか、また、これまでに何回解いたかが分かるので、復習するまでの期間の参考にすることができます。
また、正当数を記録することで、自分の成長を可視化することができます。
最新の改正法や過去問に完全対応
『ケータイ司法書士』の民法では、大改正のあった債権法や相続法に完全対応しており、他の科目も最新の法改正や最新の科目に完全対応しています。
森山先生のTwitterです。試験情報や講義・出版本の内容はもちろんのこと、たまに家族やプライベートなこともツイートされています。
忙しい毎日のようですが、講義をして、本を出版して、家族との時間を大切にされていて…本当に尊敬します。
『ケータイ司法書士』の第4版の発売直後は、アマゾンと紀伊国屋書店で『ケータイ司法書士』シリーズが司法書士ジャンルの売上ベスト5を独占したようです。
売れに売れまくっているようですが、内容が本当に素晴らしいテキストなので、売上に繋がるのは当然といえば当然ですね^^。
私が『ケータイ司法書士』を選んだ理由&解き方
『ケータイ司法書士』を選んだ理由
私は合格年に『ケータイ司法書士』を使用しました。『ケータイ司法書士』を選んだ理由は、「Aランクの知識を完璧にしたかった」からです。
前年度に不合格になった際に、不合格になった理由を自分なりに分析しました。敗因は色々とありましたが、敗因の一つが「基礎が疎かになっていた」ことでした。
学習経験を重ねるうちに、無意識のうちに「こんなことは分かっているはず」と思って基礎を軽んじてしまっていたり、応用問題に取り組むうちに基礎に触れる機会が少なくなり、結果、基礎が曖昧になってしまっていた、という事態に陥っていました。
基礎が大事なことは重々分かっていたつもりだったのに、基礎を疎かにしてしまったが故に、得点すべき問題も落としてしまい、不合格となりました。
基礎をやり直すのには様々な方法があります。例えば、これまで使ってきたテキストを読み返したり、Aランクと言われる過去問を徹底してやり込んだりする方法です。
私は、テキストは予備校の分厚い数千ページに及ぶものを使っていたので、それをイチから丁寧に読み返す気力はなく…、過去問を解くのは、どうしてもアウトプット的(※)な解き方をしてしまうので、基礎のやり直しには向かないと思いました。
※過去問を解いて、解説を読んで、そこから知識を固めていくといったように、過去問を解くことでインプット的な勉強をすることもできます。しかし、基礎固めをするという目的であれば、過去問はどうしても断片的な情報になってしまうと思ったので、過去問を解くことで基礎固めをするといった方法は採りませんでした。
どのようにして基礎を固めようか迷っている時に知ったのが『ケータイ司法書士』です。
『ケータイ司法書士』は、自分の回りの受験生が結構持っていて、当時、ネットでも「分かりやすい」と評判で話題になっていました。しかし私は、当初は正直、「サイズが小さいし、ページ数も少ないし、見開き1ページで1テーマを完結させているなんて、本当に必要な知識が網羅されているんだろうか…。」と、『ケータイ司法書士』だけでAランクの知識を固められるのか懐疑的でした。
と思い、民法を購入しました。
私の『ケータイ司法書士』の使い方
購入当初は『ケータイ司法書士』に懐疑的でしたが、実際に使ってみると、私には『ケータイ司法書士』が最高のテキストに思えました。
はじめの数回は、左ページの解説を読んで、右ページの問題を解くという、恐らく一番オーソドックスな順番で『ケータイ司法書士』を使っていました。
テキストページの解説は、要点だけが分かりやすくまとめられているので、無駄なく基礎のおさらいができます。重要な部分は赤字になっているので、何度も読むうちに、赤字のところだけを目で追うだけで、おさらいが出来るようになりました。
テキストページでおさらいをした後に、すぐに、おさらいをした内容に該当する過去問を解くので、自分が本当に理解出来ているか、また、問題を解く際に理解した内容を使いこなせているかを確認することができました。
『ケータイ司法書士』をおすすめしたい方(個人的見解)
『ケータイ司法書士』は、初学者にも学習経験者にもおすすめです。
おすすめの理由は、これまで述べてきましたように、司法書士試験に合格するために必要なAランクの知識を、これ一冊で習得することができるからです。初学者でも学習経験者でも、合格するためには基礎知識を完璧にしておくことが必要です。
ただ、初学者が使用する際には、『ケータイ司法書士』と、予備校のテキストや『オートマ』のような他のインプットテキストを併用するのが良いと思います。
『ケータイ司法書士』は、Aランクの知識がまとまっていますが、覚えるべき内容だけが箇条書きになっているので、制度趣旨等を深く学習することは少し難しいです。条文や規定の根本から理解したり、「なぜこうなるのか」といった疑問を解決するには、制度趣旨や結論に至るまでの過程が書かれたテキストが必要だと思います。