『司法書士 山本浩司のautoma system オートマ過去問(以下、『オートマ』)』を実際に使ってみた感想を書きます。
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『オートマ』ってどんな過去問題集?
『オートマ』は、TAC/Wセミナーの超人気講師”山本浩司”先生が書かれた司法書士受験用の過去問題集です。早稲田経営出版から発売されています。
山本先生の「オートマシリーズ」は、”わかりやすい”、”合格に必要なものだけが収録されている”等、TAC/Wセミナーの受講生のみならず、他の予備校の受講生や、独学者からも好評です。
『オートマ』の特徴
本当に必要な問題だけに絞って収録
『オートマ』過去問題集を手に取ってみると分かりますが、本の厚みが他の過去問題集と比較して薄く感じると思います。
『オートマ』は、合格に本当に必要な問題だけに絞って収録されています。その絞り方が秀逸で、必要だと思われるものはかなり昔に出題された問題からもピックアップされて収録されています。直近に出題された問題でも、重要度の低いものは掲載されていません。
肢別問題集
『オートマ』過去問題集は、肢別問題集です。
肢別問題集とは、1問5肢で出題される本試験の問題を1肢レベルで分解し、その肢たちを、テーマ毎にまとめた問題集です。
『オートマ』には、過去の膨大な過去問の中から、山本講師が本当にやるべき内容を1肢1肢検討して選び抜かれた肢が収録されています。
肢別問題集は、1肢ごとに解答していくので、その肢の知識が身についていないと解答することができません。5肢択一式の問題集と違って、組み合わせから消去法で答えを出すなどが出来ないからです。
肢別問題集を使うことで、問われている内容が本当に理解できているのかを、自分で確認することができます。
※ただし『オートマ』は完全な肢別問題集ではなく、肢別に検討するよりも、5肢選択式で問うた方が良いと思われる問題に関しては、5肢選択式で掲載されています。
オートマ式の並び順で収録
一般的な過去問題集は、民法であれば、まずはじめに民法総則分野の「権利能力」の問題から収録されていると思います。
この点、『オートマ』は、民法総則分野の「代理」の問題から収録されています。「オートマシリーズ」のテキストも代理から始まるため、概ねテキストの掲載順と連動して過去問の掲載順が決められているようです。
初学者の方で「いきなり代理?まだ学習していないんだけど…」と思った方もいらっしゃるかもしれません。『オートマ』は、テーマごとに肢レベルでまとまって収録されています。自分が学習したいテーマを選んで問題を解くことができますので、自分の学習の進捗に合わせて問題を解くことが可能です。
セット問題/比較問題で効率よく学習
『オートマ』では、一緒に学んだ方が効率よくその知識が身に着く肢を「セット問題」とし、比較して覚えるべき肢を「比較問題」としています。それらが分かりやすいようにデザインして収録されています。
正誤を記録できる
『オートマ』過去問題集では、問題番号の下にチェックボックスが3つあります。そこに、その問題が解けたかどうか(〇か×か)、迷って解いたか迷わず解けたか(△か◎か)など、正誤記録をつけることができます。
改正民法対応版が発売されている
改正民法が令和2年4月1日に施行されたため、令和2年度以降の司法書士試験は、改正民法に基づいて出題されています。
『オートマ』は、令和2年4月1日施行の改正民法に完全対応しています。
内容が法改正に対応しているのは勿論のこと、例えば、改正民法により改正前と正誤が逆転する問題には「逆転」のマークが、正誤は変わらないけど根拠が変わる問題には「根拠」マークをつけるなど、どこがどのように変わったがが分かりやすく掲載されています。
解説はポイントのみ
『オートマ』過去問題集の解説は、とても簡潔です。必要なことだけをコンパクトにまとめて説明されています。
解説があまりに長いと読む気がしないし、読むだけでとても疲れます。解説が簡潔なところが、私が『オートマ』が好きな点の一つでもありました。
私が『オートマ』を選んだ理由&解き方
『オートマ』を選んだ理由
私は学習初期の頃から『オートマ』過去問題集を愛用していました。
司法書士試験の学習を始めた頃、「Aランクの知識を完璧にして、+Bランクの問題を半分くらい解けるようになったら合格できる」と、色んなところで目にしたり耳にしたりしました。
試験には必要最小限の力で合格したいと思っていたので(笑)、この考えに共感するところがあり、本当に必要な過去問だけが収録されている『オートマ』で過去問演習をすることにしました。
何度も繰り返して解くことで、『オートマ』に収録されているAランクの知識は、ほぼマスターすることが出来たと思います。
私の『オートマ』の解き方
初めての過去問
私が全くの初学者の時に始めて使ったのが『オートマ』だったので、初めて解く時は、いくらAランクの問題といえども、正解することが全く出来ませんでした。
始めは、オーソドックスに、左ページに掲載されている問題を解き終えたら、右ページに掲載されている答えを見て、解説を読む、というようにしていました。
でも全く解けないので、初回に解いていた時の途中から、問題を読んで、自分で解かずに、すぐに解説を読む、というようにしていました。
インプットした(はずの)知識が曖昧で、過去問を解いても、何が論点になっているのかが分からないことが多かったので、解説を読んで「あー、こういうことを問いたかったのか」といった感じで、問題の趣旨を理解する感じで読み進めていました。
『オートマ』過去問1冊を一周する頃には、司法書士試験では、「何がどういう風に問われるのか」がなんとなく分かってきたので、2周目からは、過去問を読むのではなく、過去問を解くようにしました。
2周目以降
左ページに肢別問題、右ページに答えと解説が書いているので、2周目以降は、右ページの答えと解説を紙で覆って隠して、1問解いたら、右ページに置いた紙を下にずらして答えと解説を見るといったように、1問1答形式で問題を解いていきました。
始めのころは、ペンを持って、紙に答え「〇」とか「×」とか書いていたのですが、途中からペンも持たず(※)に解くようにしました。①問題を読む、②頭の中で正誤を判断、③答えと解説を見る、としたことで、イチイチ答えを書いていた時間が短縮できました。また、ペンを持たずに解くので、電車の移動中でも学習しやすかったです。
※事例問題などで、図に書いた方が分かりやすいものは、紙に書いて検討することもありました。
『オートマ』をおすすめしたい方(個人的見解)
『オートマ』は、初学者にも学習経験者にもおすすめできる過去問題集です。
初学者におすすめな理由
私は実際に、初学者の頃は『オートマ』をメインの過去問題集として使用していました。肢別問題集なので5肢選択式より解きやすく、また、肢別に解くことで、自ずとひとつひとつの肢を丁寧に解くことになるので、力がついていくと思います。解説が簡潔で分かりやすく、私は『オートマ』のおかげで基礎固めが出来たと思っています。
また初学者の時は、インプットする時間が沢山必要だったり、復習に多く時間をとったり、記述の雛形を覚えたり…と、過去問を解く以外にもやることが山ほどあります。過去問は『オートマ』に収録されているくらいの量だけを解くのが、ちょうど良い分量ではないかな?と個人的に思います。
学習経験者におすすめな理由
学習経験を重ねると、基礎は分かっているものとして応用問題を解いたり、苦手分野を重点的に取り組んだりするため、いつのまにか分かっていた基礎知識がグラグラとぐらついてしまうことがあります。『オートマ』は、基礎問題に限って収録されているので、折に触れて基礎知識に触れるのに適した過去問題集だと思います。
また、肢別にテーマごとにまとまっているので、復習したいテーマの重要肢だけを効率的に復習できます。学習経験者は、『オートマ』をメインの過去問題集をするのは勿論のこと、『オートマ』などの5肢選択式の過去問題集と併用して『オートマ』を使用するなど、ご自身の勉強スタイルにあった形で使うと良いと思います。
『オートマ』をするだけで合格レベルに達しますが、ただするのではなく、「完璧」にしないといけないことは、山本先生の著書「短期合格のツボ」にも書かれています。その点については、また機会を見てご紹介したいと思います。
司法書士 山本浩司のautoma system オートマ過去問 (1) 民法(1) 2021年度